2020年10月15日木曜日

ボクが痩せた理由?

  最近、みんなから「少し痩せたんじゃない?」と言われる。言ってくれるのはおばちゃんたちで、さすがに観察眼が鋭い。今日もお掃除のおばちゃんに「痩せたでしょ?」と訊かれた。実際、痩せたのは確かで、およそ3㎏の減で78㎏。一時は90㎏近くあり、ポッコリお腹は慢性的な臨月状態だった。ところがどういうわけか、夏が終わった途端、お腹もへこみ、顔もスッキリして、生来の男前に戻ったのである。

 

 体重は減ったが、身長も縮んでしまった。177㎝あったのだが、今は174㎝台。3㎝も縮んでしまった。カミさん曰く「おじいさんになって姿勢が悪くなったせいよ」。たしかに姿見で映してみると、ひざがいくぶん曲がっている。紛れもなくおじいさんの膝だ。腹がへこんだのは僥倖だが、丈が短くなってしまったのは悲しい。

 

 毎晩酒を喰らい、飯を腹いっぱい食べ、ひたすら眠りまくるじいさんがなぜ痩せるのか。そこんところが、今ひとつわからない。早朝のラジオ体操のおかげ? それも少しは影響しているかもしれないが、ラジオ体操くらいではたぶん痩せないと思う。それとも筋トレ? 公園ではおじさんやおばさんが、ひたすら歩き、ひたすら走っているが、膝の悪いボクはそれができず、鉄棒にぶら下がったり、腹筋背筋にいそしむ。あるいは、公園内にあるあずま屋の柱を相手に、相撲取りがやるような〝てっぽう〟で汗を流す。


 しかし、「ハー、ハー」と息が荒くなるほど頑張った記憶がない。どう考えても痩せた原因が分からないのである。件の掃除のおばちゃんに「もしかすると心の悩みで痩せたのかも……」と言ったら、「ハハハハ」と大笑いされた。「悩みを抱えてるってタマじゃないよ」だって。ひどい。おれだって人並みに悩むことはあるのに。


 来年になると、たぶんもっと痩せると思う。何度も書いているが、ボクの住むマンモス団地の理事長になるからだ(いまは副理事長)。1619世帯で、およそ5000人の住民。市内では〝ちょっとお高い人たちが住むハイカラ団地〟として有名で、自衛隊の官舎や他の団地住人からは「敷居が高いわね」と見られている。なにしろ、現在、ボクが支えている理事長は全日本公認会計士協会の元会長で、東北大学の教授でもあった。どこを見てもインテリだらけの団地なのである。


 おまけに団塊の世代(1947~1949年生まれ)が中心だから、どこを見てもいわゆる〝左翼老人〟だらけ。ボクは筋金入りの左翼ぎらいだが、若い頃から左翼だったんだよ、と自慢げに語るおっさんが少なくないのだからイヤになる。左翼っぽくふるまうとバカでも賢そうに見える、というのは昔も今も変わらないのだ。それに近頃は左翼といわず「リベラル」という。アメリカでリベラルというと「少しオツムの足らない連中のこと」というニュアンスを持つので、「プログレッシブ」という言葉に代えたらしいが、バカに変わりはない。


 こんな左翼老人がウジャウジャ蠢く団地で理事長をつとめるというのは、よほどのバカでなきゃできない。口ばかり達者な連中を相手にするのだから、こっちも負けずに口が達者でなければつとまらないのだ。もっともボクの場合は口より手が先に動いてしまうので、(また朝霞警察署のお世話にならなければいいのだけれど……)と心配するムキもある。


 それに加えて本の執筆という仕事が加われば、ストレスが溜まり、もうひと回り痩せてしまうのではないか。ボクは今の78㎏という体重が一番動きやすいので、現状維持につとめたいのだが、はたしてどうなるか。明日は恒例の〝プールの日〟。お腹もへこんで水の抵抗も少なくなっただろうから、池江選手みたいな華麗な泳ぎを披露できるだろう。池江は白血病と闘い、瀬戸は世間の非難と闘っている。浮気は男の甲斐性、と昔は言われた。あんまり追い詰めたら瀬戸が可哀想だ。浮気心なんて誰にでもあるもの。世間の皆さんよ、正義漢ぶるのもほどほどにね。



2020年10月6日火曜日

マスクの苦手な人だっている

 少し前に、マスク着用を拒否して、飛行機から降ろされた乗客がいたけど、彼は拒否した理由をハッキリ言わなかった。マスクをすると気分が悪くなる、といったニュアンスのことは言っていたような気がする。遅延もあるから、他の乗客にとっては迷惑な話で、機内から出されるとき、思わず拍手が巻き起こったらしい。

 今はどこへ行くにもマスクが必要で、電車内などでマスクをしていなかったら、非難するような鋭い視線にさらされる。スーパーでも、毎週通っている市民プールでもそう。プールでは入り口で手の消毒と検温、追跡調査用の連絡先まで書かされる。

 最初の頃はマスク不足が大きな社会問題になったものだが、今ではマスクが過剰気味。地味で使い勝手の悪いアベノマスクは抽斗の奥深くにしまい込まれ、街は白、ピンク、黒、柄物と色とりどりのマスクであふれている。

 ボクは機内から出された乗客と同じで、マスクが苦手である。できるなら着用を拒否したい。10数年前の自分なら、そんな行為に及ばないのだが、今なら「No!」と言うかもしれない。なぜって、病気だからである。英語で言うとclaustrophobia。日本語で言うと「閉所恐怖症」である。

 ボクはある日突然この病気に罹ってしまった。結果、飛行機や地下鉄に乗れなくなり、今も飛行機には乗れない。長いトンネルや窓のない部屋もダメで、以前、地下のライブハウスで友人の演奏を聴いていたら突然呼吸が苦しくなり、慌てて部屋を飛び出したことがある。

「気道を塞がれる」というイメージがまずあって、過呼吸の発作が起きると、大げさではなく〝死〟を思ってしまう。そのため首を圧迫するネクタイなどはできることなら締めたくない。かなり重症だった頃、バスに乗っていて自分の左指の結婚指輪をさりげなく見ていたら、急に呼吸が苦しくなり、バスを飛び降り、近くのデパートに駆け込んだ覚えがある。宝石売り場へ急ぎ、「すみませ~ん、この指輪を大至急切断してくださ~い!」ボクは叫ぶように訴えた。

 店員は最初、こちらの慌てようにビックリしていて、事情が呑み込めないようだったが、こっちの必死の形相に飲まれたのか、大急ぎで切断してくれた。指から抜くのではなく切断。大事な結婚指輪だが、ボクは容赦なく切断した。指輪が外れた時、ボクは深く息を吸い込み、「ああ、助かった……」と、ようやく安堵した。店員は目を白黒させていた。

 閉所恐怖症なんです、と言うと、人はクスリと笑い、信じられないといった面持ちで、「そんなごっつい身体をしている嶋中さんが? 信じられな~い」とまじまじとボクを見つめる。身体つきは関係ない。性格も関係なし。相撲取りだって罹るし、殺されたって死にそうにないトランプ大統領だって罹るときはかかる。とにかく窓のない狭い部屋に閉じ込められると、気道が塞がれるという恐怖感に襲われ、パニック障害を起こす。ボクの場合はいわゆる過呼吸症候群というやつで、息が吸い込めなくなって気絶してしまう。

 あとで医者が言うには、「ムリに吸い込もうとするからいけない。吸い込むんじゃなく吐き出すんだ。吐き出せば自然と吸い込めるようになるから……」まさにそのとおり。ムリしてでも息をぜんぶ吐き出す。すると自然と息を吸い込めるようになる。医者の言うとおりだ。

 今でも医者に処方された精神安定剤みたいなものは服用しているが、朝の満員電車に乗らなくてはいけない、といった時以外は服むことはない。あれほど仕事で海外に行っていたのに、この病気に罹ってからは一度も海外渡航はなし。あの狭い飛行機に乗っていると想像しただけで、もう呼吸が荒くなってしまう。どうしても乗らなくてはいけないという緊急事態が起きたら、それこそべろんべろんに酔っぱらって乗り込み、同時に睡眠薬で眠りこけるしか手はない。そういう事態にならないことをひたすら祈る。

 あのマスク着用を拒否した乗客は、もしかしてぼくと同じ病気の「閉所恐怖症」だったのじゃないか。それともただのへそ曲がりか。

 とにかくこの新型コロナの流行が早く収まってくれないと、マスクとの闘いがずっと続くことになる。世の中には、マスクの苦手な人がいて、中にはこうした病気を抱えている人もいるんだよ、という事実も知っておいてほしい。

 コウモリっ食いの中国人のおかげで、世界中が迷惑している。あの豚まんみたいな顔をした習近平さんよ、土下座して世界の人々に謝りなさいな。まさかあれって、中国軍の開発した細菌兵器の一種じゃないだろうね。