米国のオバマ大統領は比大統領のドゥテルテから「売春婦の息子」と
罵倒された。オバマだけではない。駐比アメリカ大使は「このオカマ野郎」と
罵られ、訪比したローマ法王に対しても「もう来るな!」、
国連には「脱退してやる」などと息巻いた。
いまやドゥテルテは〝暴言王〟などという尊称まで奉られ、
その一挙手一投足が世界中のメディアから注視されている。
フィリピンは貧しい国だ。輸出品といえばバナナとマグロくらいしか
思いつかないだろうが、最大の輸出品は、実は女の子だ。ダンサーやホステス、
ハウスメイドに看護婦……彼女たちは異国の地で懸命に働き、
稼いだ金を母国に送金する。その送金でフィリピン経済は支えられているのである。
そんな貧しい、ちっぽけな国の大統領が、アメリカの大統領に向かって、
「アメリカ軍は2年以内に出ていけ」、「オバマは売春婦の息子だ」と
国際儀礼上、考えられないような下品な言葉で罵倒した。
これはいったい、どうしたことなのか。ドゥテルテはなぜこれほどまでに
アメリカを嫌うのか。
ジャーナリストの高山正之は、ドゥテルテは骨の髄までアメリカ嫌いで、
オバマを罵倒したのも確信犯だから、と言っている。ドゥテルテは麻薬の売人を
裁判にもかけず、およそ2000人も処刑してしまった。オバマはすぐに「人道的に
問題だ」と非難したら、「お前たちにそんな批判をする資格があるのか」と、
反論したのである。
今から1世紀以上も前、アメリカとフィリピンは戦争をしていた。米比戦争
(1899~1913)がそれで、その折、レイテ島の隣にあるサマール島で米軍の
2個小隊がゲリラに襲われ、38人の兵が殺害されてしまった。これに怒った
米軍の駐留司令官は、レイテ島とサマール島の島民を皆殺しにしろ、と命令した。
この命令を出したのは、かのダグラス・マッカーサー将軍の父親である
アーサー・マッカーサー・ジュニアなのである。殺された島民の数は
およそ10万人。この虐殺命令には事前に「10歳以下は殺すな」という
但し書きがあったが、実行部隊は「10歳以下の子供はひとりもいません
でした」と報告し、了承されたという。女子供もかまわず皆殺しにして
しまったのである。ドゥテルテはそのレイテ島の生き残りの血筋に当たるという。
怨み骨髄、というのも理解できる。
米兵38人対フィリピン人100000人。それも非戦闘員の民間人だ。
フィリピン人の命はアメリカ人のそれの2600分の1の重みしかないのか。
こんな非条理が赦されていいものか。東京大空襲や原爆によって
フィリピン人と同じように、いや虫けらと同じように殺された日本人。
アメリカ人の目には日本人もフィリピン人も同類で、虫けらそのもの
だったのだろう。
フィリピン人はスペイン人と300年間戦い、次いでアメリカと戦った。そして
大虐殺という試練を乗り越えてきた。ドゥテルテの支持率は圧倒的に高い
というが、それは彼がフィリピン人の積年の怨みを代弁しているからだ。
高山は「アメリカが通ったあとはペンペン草も生えない」と言うが、
いまそれと同じことを支那がチベットやウイグル、内モンゴルでやっている。
渋谷の駅頭で、ハロウィーンなどと言って仮装行列しているノーテンキな
若者たちよ。君らにはアメリカのお妾さんの子孫なのだ、という自覚すらないのか?
よくもまあ、そんなうすらみっともない格好で街を歩けるよな。
ボクの目には暴言王のドゥテルテのほうが、よほど上等な人間に見えるよ。
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