近頃、何をするにもおっくうになってきた。
夏バテなのか加齢によるものなのか、生きる気力というか活力がめっきり
湧いてこないのである。あれほど好きだった洋画もまったく見る気がしないし、
仲間たちと飲んでも今ひとつ意気が上がらないのである。
「元気なさそうだけど、どこか具合でも悪いのですか?」
近所の知り合いにすれ違いざまに声をかけられた。
見た目にも悄然とした様子が見て取れるのだろう。
体調がすぐれない、というのはたしかにある。
夏祭り(7/22)の前後から体調不調を訴えてきたのだけれど、
その後遺症なのか。しかし今は下痢も収まり、めしも酒もおいしく
いただいている。それなのに、なぜか気分がふさいでしまう。
これはいわゆる〝不定愁訴〟というものなのだろうか。
ただ衰えないのは、読書慾だ。読みたい本が次々と出てきて、
ついAmazonに注文してしまう。本が届けばさっそくひも解くのだが、
ソファに横になり読み始めると、ものの数分で居眠りがはじまる。
「お父さんはよく寝るね」
居候のLucas(ルカ)にもバカにされる始末である。
おかげで部屋のあちこちに読みさしの本が山積みされている。
この数日、女房が浜松の実家に帰っているので、
わが家はボクとルカだけ。男同士だから気楽でいい、というのはもちろん
あるが、お気楽ついでに何もしない、という事態にもなる。
(食事作るのもめんどくせえな……)
留学生には三度の食事を与えなくてはならない、という決まりはあるが、
「おいしい食事」を与えろとは書いてない。で、怠けもののボクは手を抜く。
「ルカ、晩飯は外で食べようか?」
外食と聞くとルカは喜ぶ。たとえラーメン一杯でも素直に喜ぶ。
昨夜は奮発してインド料理屋でカレーやタンドーリチキンをごちそう
してやった。
(今夜は丸亀製麺でぶっかけうどんでも食わせるか……)
できるだけ安く上げようと、またまた外食を目論んでいる。
ルカとの生活は刺激があっていい。
なかなかクセのあるやつだが、頭はいいし、性格は素直だ。
部屋中をスッポンポンで歩き回るのだけはやめてくれ、
と叱ったこともあるが、昨日はパジャマ姿で外出してしまった。
フランス人というのは、いつもあんな調子なのか?
ま、世の中にはいろんな人間がいる。
たまたまわが家に同居することになったが、これも何かの縁だろう。
今まで十数カ国の留学生(高校生)がわが家の敷居をまたいだが、
みなそれぞれに何かを残していってくれた。今や家族同然につき合っている
子もいれば、その後、何の音沙汰もない子もいる。
だがそれでいい。留学生をあずかるのはあくまでボランティア活動。
無償の奉仕なのだから、反対給付など期待してはならない。
日本という国と、そこに住む日本人を好きになってくれれば、
それ以上言うことはない。ちっぽけな日本という島国には、
心のやさしい人々が暮らしている――そのことを知ってもらえれば、
もう言うことはないのだ。
今、午前10:30。
ルカはまだ寝ている。
「お父さんはよく寝るね」
というルカの言葉は、
「ルカはよく寝るね、まったく」
と、毎日のように小言をいうボクに対する当てこすりなのだ。
口の減らないフランス人め……(笑)。
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