2019年1月7日月曜日

日本人の8割が〝スマホ首〟

正月2日、練馬区谷原にある新鮮市場「フレッツ」に買い出しに行った。
都内最大級の鮮魚店で、お客さんがあると刺身などを買いに時々ここまで足を運ぶ。
さてこの店の隣はふつうの民家だが、珍しや庭に二宮金次郎の像があった。
「民家の庭に金次郎の像があるって珍しいよね……」
女房と2人で顔を見合わせたものである。

ボクが子供の頃はどこの小・中学校にもこの像が立っていた。
二宮金次郎、長じて尊徳と称したこの人物は農政家・思想家として知られ、
「報徳思想」を世に広めた。内村鑑三の『代表的日本人』の中でも取り上げられ、
〝農民聖者〟と讃えられている。

だがこの聖者、近頃は今一つ人気がないという。
「こどもが働く姿は勧められない」
「戦時教育の名残だ」
「歩きながら本を読むのは危険」
などという理由で、「児童の教育方針にそぐわない」ということらしい。



←かつて、どこの小学校にもあった
二宮金次郎像。










質素倹約と勤勉を絵に描いたようなこの像のどこが「教育にそぐわない」のか、
ボクにはサッパリわからないが、戦後民主主義バンザ~イ! を叫ぶ日教組の
センセーたちにとっては、『修身』の権化みたいなこの人物像が、古臭くて
忌まわしい像に思えるのであろう。

そのおバカなセンセーたちの教え子が今、歩きながらスマホをいじっている。
なかには自転車をこぎながらスマホに見入っているものもあるし、あろうことか
車を運転しながらメールを打っている不届きものもいる。いったいどっちが
〝危険〟なのか、とボクは怪しむのだが、日教組のセンセー方は怪しまない。

話は変わるが、日本人の約8割が〝スマホ首〟を患っているという。
スマホ首というのはいわゆる〝ストレートネック〟のことで、
頸椎の緩やかなカーブが失われてしまった状態を言う。
頸椎のカーブが失われてしまう ということはすなわちカーブのクッション機能が
失われ、頭の重みが直に頸椎にかかるということを意味する。
頭の重さは体重の約10%というから、ボクの場合、約8㌔の重さが頸椎にかかる。

実はボクはスマホ首ではないが、ストレートネックと診断されている。
一昨年、頚椎症性筋萎縮症という病気に罹ったとき、レントゲン検査で
わかったのである。パソコンを使う人間がかかりやすいというから、
たぶんそっちの影響だろう。PCが商売道具の物書きにはストレートネック患者が
多いのではないだろうか。ボクはケータイもスマホも持たないから、
パソコンが原因としか考えられない。

それにしても〝スマホ中毒患者〟が多すぎる。
電車の中はもちろんのこと、横断歩道を渡っている時も、
若者たちはスマホの画面に見入っている。
一時停止違反の車が突っ込んできたら、それこそ一巻の終わりである。

1日17時間、スマホから離れられないという中毒患者の若者がいた。
新聞記事に出ていたのだが、寝る時間以外はすべてスマホに捧げているらしい。
いったい17時間もスマホを使って何をしているのか。メール? 動画?
それともゲーム? いずれにしても二宮金次郎の読んでいた四書の一つ
『大学』の中身とは天と地ほどの違いがありそうだ。とてもじゃないが、
二宮尊徳の衣鉢を継ぐ人間にはなれそうにない。

さて、史上最年少で囲碁棋士に内定することが決まった
仲邑菫(なかむらすみれ)ちゃん(9歳)の面構えがいい。
6日、トップ棋士の井山棋聖と対局したが、おめず臆せず、
鋭い視線を井山棋聖に送っていた。この仲邑家にはテレビがないという。
菫ちゃんはバラエティと称する〝バカ番組〟とは無縁のところで
純粋培養されたのである。近頃珍しい、まことにすばらしい一家である。

ボクもバラエティ番組など糞くらえのクチだが、ニュースとスポーツ番組だけは
見ている。ほんとうはテレビなどなくてもいいのだが、薄志弱行の身ゆえ、
つい人並みの生活へと流されてしまった。スマホに熱中している若者の中に、
あの菫ちゃんほどの凛とした面構えを有する者があるか? 

みんな揃ってアホ面なのは、決して偶然ではあるまい。
本を読まず、スマホでゲームやユーチューブ動画に熱中している連中に
輝かしい未来はない、とボクはあえて断言する。スマホなどという
大人の〝おしゃぶり〟は単なる時間つぶしの道具でしかない。
そんなヒマがあったら、本の一冊でも読んだらどうだ?
ああ、二宮金次郎の質朴さを愛しんだあの時代がひどく懐かしい。




←井山棋聖を見据える仲邑菫ちゃん。

4 件のコメント:

  1. 嶋中労さま

    おはようございます。
    菫ちゃん眼光の鋭さは今しがたの日本人にはないものを
    持ち合わせているとテレビ画面を通して感じ取れました。

    曹洞宗の修証義、第四章 発願利生の一節を思い出したのです。それは
    「・・・設ひ七歳の女流なりとも即ち四衆の導師なり衆生の慈父なり、・・・」
    (道元さんんが法華経から引用されたと記憶しています。)

    菫ちゃんがどのような人生を歩むのかは、田舎者には想像もつきませんが、
    このままで大きく育って頂きたいと願っています。

    久しく生きた目に逢うことがなかった、いや気が付かなかった田舎者です。

    ありがとうございました。

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  2. 田舎者様
    おはようございます。

    田舎者さんが言うように、菫ちゃんの眼光の鋭さは尋常ではないよね。

    9歳にしてあの悠揚迫らぬ落ち着いた態度。
    栴檀は双葉より芳し、というけど、菫ちゃんが全身から発する存在感は、
    他を圧倒していますよ。

    スマホなんかにうつつを抜かしている連中に、菫ちゃんの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいくらいだけど、そもそもスマホ首の連中には煎じ薬程度では効かないだろうね。

    現今のテレビ番組は百害あって一利なし。
    どの局に替えても、出てくるのはタレントと称するバカタレ(おバカなタレントのこと)ばかり。世も末であります。

    菫ちゃんの不敵な面魂は、かつての明治人たちのそれに似てますね。
    これからはメディアがこぞって追いかけまわすでしょうが、
    そんなヤクザなものに惑わされず、信じる道をまっしぐらに進んでいってほしいと思います。


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  3. しまふくろうさま、こんにちは。
    ストレートネックになりかけている木蘭でございます。(←「老化」とドクターに言われました(^^;)

    眼光のするどさ・・・頭の光ならば負けないのですが・・・(笑)

    うろおぼえですが、
    司馬遼太郎さんの本の中に、
    「昔はおでこに力のある男が多かった」というような文があったと記憶しています。
    眼に力のある人のことなのかな、と本を読みながら考えていました。

    菫ちゃんの目は綺麗で、その上強さがある。本当に素晴らしいものです。
    これからが楽しみですね(#^.^#)


    二宮金次郎の像。
    「歩きながら本を読むのは危ない」と、
    各学校から消えてしまいました。

    私の師匠は「その精神を学ぶための像であるのに」と非常に憤慨しておりました。

    そしてその後、
    うちの寺院にも尊徳像をお迎え致しました♪
    当時、まだ幼かったお寺の子供たちはかなり親しそうに、
    「にのきん」と呼んでいましたが(笑)

    本当にスマホ族の多いこと。
    都会では特に「服を着た危険」でいっぱい。

    しまふくろうさまも電車等を利用する時は、
    「歩く危険」にお気をつけて下さいませ。

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  4. 木蘭様
    待ってたんですよォ。ようこそわが家へ。

    さて、木蘭さんもストレートネックらしいとのこと。
    曲がっていようが真っ直ぐだろうが、木蘭さんならどっちも素敵ですから(笑)、
    お好きにどうぞ。

    さて「ニノキン」には笑っちゃいました。「タノキン」よりは少しだけマシですけどね。

    スマホ族、ほんとうに多いです。佃煮にするくらいいます。
    駅のプラットホームでも〝ながら歩き〟してますから、ボクなんか心の裡で、
    「ホームから転がり落ちてしまえ!」
    と祈っているのですが、いまだに実現できていません。残念です。

    ボクのほうがよほど〝危険人物〟かもしれませんね(笑)。

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