2019年2月25日月曜日

役人根性大っきらい

独断と偏見で言わせてもらうと、ボクは〝役人〟が好きではない。
役人を公務員と言い換えてもいい。ただし例外があって、警察官と消防隊員と
自衛隊員(特別国家公務員)はその限りではなく、むしろ尊敬している。

「役人」と「官僚」とは違うらしく、後者は国家公務員Ⅰ種の資格を持つ公務員の
ことで、平たくいうと国を指導する立場の公務員のことを指す。以前も少し触れたが、2010年、「APEC首脳会議」が横浜で開催されたとき、各国首脳たちをどんな食事で
もてなすか、ということでボクの女房が「知恵を貸してくれ」と外務省から頼まれた
ことがある。

カミさんは料理記者としてはベテランの部類で、キャリアは40年以上。
和洋中の料理に通じ、プロ向けの料理雑誌の編集長を務めただけでなく
有名料理人の本を数十冊も手がけている。で、この「横浜APEC」に際しては、
いろいろなアイデアを提供した。だが、外務省の担当が細かいことにまで
くちばしを挟んでくる。そのことごとくが的外れで慇懃無礼な応対であった。

「一見、低姿勢なんだけど、実は尊大そのものなんだよね」
カミさんはもう二度と一緒に仕事をやりたくない、と思ったという。
官僚の中でも財務省に次ぐエリート中のエリートといわれる外務官僚。
東大卒のキャリア官僚ともなれば、それは鼻高々だろうし、
いかな低姿勢を演出しても〝官尊民卑〟に似たエリート意識はぬぐえない。
〝上から目線〟の物言いは骨がらみで沁みついてしまっているのである。

閑話休題。
ユダヤ人にとって「杉原千畝」という元外交官は〝生命のビザ〟を発給した
人物として知られている。当時、リトアニア領事代理だった杉原は、
ナチス・ドイツに追われたユダヤ人難民に日本通過ビザを発給した。

当時の日本の外務省はナチス・ドイツとの関係でビザ発給を認めなかったのだが、
杉原は訓令違反を承知でビザを発給し、そのおかげでユダヤ人6000人の生命が
救われた。この〝生命のビザ〟の話は、今やだれでも知っている。

かつて〝外務省のラスプーチン〟と呼ばれた作家の佐藤優は、
ノンキャリア組だっただけにかつての古巣に対しても遠慮がない。
佐藤の敬愛するのは元衆議院議員の鈴木宗男だ。1991年、日本が独立を承認した
バルト三国に政府特使として派遣された鈴木(当時外務政務次官)の通訳をした
のを機に、二人は強い紐帯で結ばれるようになった。佐藤が外務省の主任分析官
となった背景にも鈴木の威光があったといわれている。

←鈴木宗男(左)と佐藤優








その鈴木の功績の一つに〝杉原千畝の名誉回復〟がある。
鈴木は本省からの訓令に逆らってまで〝生命のビザ〟を発給したという
史実に感銘を受け、杉原夫人を外務省の飯倉公館に招き、直接謝罪したのである。
ところが当時の外務省幹部はこのことに猛反対をした。杉原千畝は外務省の
訓令を破った張本人だったからだ。

外交政策の決定において、もっとも考慮されるべきは人道的なものが基本中の基本、
とボクなんか素人は考えてしまうが、融通の利かない先例主義、法規万能主義
といったものに凝り固まっている役人たちには、そのことがわからない。
官僚の一番いやらしい面が出た、というべきだろう。

うちのカミさんの外務官僚嫌いと、杉原千畝の〝美談〟を
むりやり結びつけるつもりはさらさらないが、ガッチガチの形式主義と
「前例がないですから……」と新規なものを避けようとする先例至上主義は、
昔も今も少しも変わっていないような気がする。創意が欠如し、保身第一に
走る独善的な官僚主義が、この国を静かにそして着実に蝕んでいる。

←罷免覚悟でビザを発給した
杉原千畝。











4 件のコメント:

  1. 嶋中労さま
    当店のお客様にもいるよ、元官僚のお偉いさん。
    でっかい車を路上に寄せずに止めて、他の車を迂回させるお偉いさん。
    駐車場もあるんだけどね。
    本人は車から降りることも無く、家族が注文をしてボクが車に運んでも、
    言葉を発することも無く視線さえ合わせませんよ、そのお偉いさん。
    ある意味、「一生勘違いな幸せ者」なお偉いさん。

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  2. なごり雪様

    いるいる、一生勘違いしてそうなお偉いさん。

    うちの団地(11棟、1600世帯)にもこういう輩が棲息してる。

    朝、某棟の前に黒塗りの高級車が横づけされる。
    ちょうどボクの車の目の前に停めるものだから、車が出せなくなるんだ。

    でもお抱えの運転手さんはいい人で、いつも目が合うと「スミマセ~ン」
    と小腰をかがめ移動してくれる。

    しかし後部座席にふんぞり返っているおっさんは、目も合わせようとしない。
    もと文科省の〝お偉いさん〟で、いまはどこか民間企業に天下りしている男だ。

    文科省なんて三流省庁で、むしろないほうが教育行政には利する、
    とボクなんか思っているから、
    心の中で(このムダメシ食いが!)と、思いきりこき下ろしている。

    民間出身でも「おれは東大出で一部上場会社N社の執行役員だったんだぞ」などと、
    ことあるごとに自慢話を始める〝昔偉かったおじさん〟がいるけど、
    病膏肓に入る、とはこのことで、この病気、死ぬまで治りはしない。

    人生修業の足らないこういう輩は、敬して遠ざけるのが一番。
    バカは感染するから、あんまり近寄らないように。

    なごり雪さんはいつも腰が低くて偉いよね。
    ボクは会うたびに(この男は人物だな)と感心してる。
    実るほど頭(こうべ)の下がる稲穂かな……生涯、こうありたいものだね。

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  3. 嶋中労さま

    おはようございます。
    昨日会議までの時間が少し空きましたので本を広げていました。

    その本は労さまもお持ちである。
    『毎田周一 君気持ちを大きくもとう』であります。
    そして時間が迫り本を閉じたページが人生観と道徳のページでした。

    道徳
    人間最高の徳は?
    謙虚。
    人間最大の不徳は?
    高慢。

    謙虚に生きたいものです。

    ありがとうございます。

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  4. 田舎者様

    高慢チキな人はいやだね。

    60代、70代のおっさんにその手の人が多いんだ。

    特に団塊の世代(1947~1949)の人たちがこの〝高慢病〟をわずらってる。

    理屈っぽくて、進歩主義を気取り、反自民・反権力がモットーで、
    「ゲバ棒もって機動隊と渡り合ったんだ」が唯一の自慢話。

    こうした〝革命ごっこ〟に興じた連中は、
    ほとんど口ばっかりの「有言不実行」なおっさんたちで、
    話をしてもどこかで聞いたような受け売り話ばかりの〝空っぽ人間〟がほとんど。
    得るものはほとんどない。

    中途半端に勉強したものは死ぬまで高慢がついて回り、
    とことん勉強したものは、いつしか頭(こうべ)を垂れている。


    田舎者さんと同じく、ボクも謙虚な人間になりたいです。

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