2019年1月15日火曜日

「全然、大丈夫です」とはなんだ!

いつの時代にあっても耳障りな言葉というのはある。
まずは「私って〇〇じゃないですかァ」という言い方。
知り合いの女性編集者がよく使うのだが、言われるたびに
「知らんよ、そんなもん」とツッコミを入れたくなる(笑)。
「こちら〇〇になります」もツッコミを入れたくなる言い方だ。
「お待ちどうさま、こちらシーザーズサラダになります」
「えっ? いつなったの?」

「私のお母さんは~」「ボクのお父さんは~」
という若者も気に障る。「母は」「父は」となぜ言えない。
公私の境界線がハッキリしていない証拠で、未熟の一語に尽きる。
「ってゆーかーァァァ」というのも未熟者の常套句。
「やばい」を連発する若者や「くそかわいい」などというバカ者は、
いっそ逆さ吊りにして思いきり蹴りを入れたくなる。

「全然、大丈夫です」もよく耳にする。「まったく問題ありません」が
正解で、「全然」という副詞がきたら次には打消しの否定語がくるはずなのに、
「全然、オーケーよ」と言われたら拍子抜けしてズッコケそうになる。

またサッカー選手や野球選手のインタビューなどでよく聞かれるのが、
「~ですし」と「~ますし」。いつの頃からかこの「ですし」「ますし」で言葉を
つないでいく選手が多くなった。中田英寿が流行らせた、という説があるようだが、
いつまでもダラダラと際限なくしゃべり続ける言い方で、実に聞き苦しい。
また語尾に「ね」をつけるしゃべり方も不遜で偉そうな響きをもつのだが、
オツムの弱い選手たちはまったく気づいていないようだ。

一方、政治家たちがよく使うのが「粛々と」という言葉。
竹下登元首相が使い始めてから、あっという間に広まったといわれている。
もともとは詩吟などにも謡われる頼山陽作の、
《鞭声粛々(べんせいしゅくしゅく) 夜河を渡る……》から来ている言葉で、
ひっそりと事を行う、の意だ。

武田信玄の待つ川中島の敵陣へ、上杉謙信の大軍が、
夜陰にまぎれて千曲川を渡る。全軍無言で、隊列を乱さず、
ただ鞭(むち)の音だけが粛々と聞こえてくる……

この「粛々」を竹下元首相は、世上の雑音などに惑わされず、
ひたすらに事を進める、の意で使った。

それはそれでいいのだが、現政権の要である菅官房長官が、
沖縄の辺野古埋め立てを「粛々と進める」とやっちゃった。
「粛々」は相手に気づかれないように静かにこっそりの意だから、
沖縄県人は怒った。これだけ埋め立てに反対しているのに、
知らんぷりして埋め立てを敢行するのか、と。

菅官房長官は、これには辟易(へきえき)し、以後「粛々」という言葉は
使いません、と約束したんだと。お粗末さま。


←♪ 号令粛々、夜浜を埋める

2 件のコメント:

  1. 嶋中労さま

    おはようございます。
    菅官房長官の本音が「相手に気づかれないように静かにこっそり」
    だったのではないでしょうか。それを口にしてしまう菅官房長官は
    政治家として軽率な発言だったのではと考えてみました。

    今回の沖縄の辺野古埋め立てだけではないのですが、反対派がいるのは
    当然のことだと認識しております。そこで常に疑問に思う事があります。
    それは反対派のマイナス点が一切報道されないということです。

    例えば沖縄から米軍が撤退すれば沖縄の失業者が増え経済が悪くなることが
    予測され、それにはこのような対策をしますと言える反対派とそれらを援護し
    ているマスコミがいないと言えるのが今の日本であると見ています。
    (いても表には出させない世の中なのです。)

    話を戻しまして、今日本の最高年齢は116歳なのですが明治45年生まれの人が
    (現在107歳)この世から去りますと明治生まれの人がいなくなるのですが
    それと同時に本物の日本語がなくなると思っています。
    (現状は限りなく本物の日本語がなくなっています)

    ありがとうございます。

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  2. 田舎者様
    おはようございます。

    沖縄の基地問題は地政学的な視点で論じないと的外れになります。
    沖縄になぜ米軍基地があるのか。もし米軍がグァムにでも撤退したら、
    日本の防衛はどうなってしまうのか。米軍基地を他県では代替できないのか……etc。

    基地反対のデモを行っている連中はほとんど本土から来た市民活動家で、
    共産党や旧社会党系の政党に日給制で雇われたプロの活動家たちです。

    日本のメディアはNHKはもちろんのこと、ほとんどがリベラルと称する左翼系ですから、
    反自民的な視点からしか報道しません。デモ隊がプロの活動家たち、などとは決して言いません。

    田舎者さんがおっしゃるように、沖縄は米軍基地を置く代わりに政府から
    助成金をいっぱいもらっています。基地のおかげで食べてゆける、
    という人たちも相当数いるのです。

    沖縄は激戦地で、多くの県民が犠牲になりました。
    その県民を殺したのは、沖縄に居座っているアメリカ軍です。
    沖縄人の心中は察するに余りあります。

    ではどうしたらいいか。
    ボクは憲法改正論者ですから、まず新しい憲法を作り、強力な国防軍を作ります。
    米軍は段階的に縮小してもらいます。沖縄の米軍基地は徐々に縮小し、日本の軍隊が
    肩代わりします。縮小した分、ハリネズミのようにミサイル網を巡らせます。

    ホンネを言うと、核武装し、核を積んだ潜水艦を数隻持ち、
    東シナ海に遊弋させておくだけでかなりの抑止になります。

    朝鮮半島で南と北が統一されれば、事実上の核保有国になりますし、
    核開発に従事した科学者たちがいる限り、潜在的な核保有国になり得ます。
    こうなると、日本はロシア、朝鮮、中国という核保有国に囲まれることになります。
    万事休すです。

    核アレルギーを持つ日本人は、核を保有すると発言するだけで社会的に抹殺されそうになります。韓国と同じで〝情緒〟だけで国際政治を語ろうとするのです。そこには透徹した
    リアリズムという視点が欠けています。

    ボクは徹底したリアリストを自任していますので、
    核武装し、イギリスみたいに原潜を数隻保有するだけの小さな核保有国を夢見ています。
    日本の通常型の潜水艦は世界一の性能で、その動きを探知するのは至難と言われています。
    この高性能の潜水艦の動力を原子力に換えるだけでいいのです。

    さて、明治人が死滅すると本物の日本語がなくなるという指摘ですが、
    書籍がある限り命脈は保てます。だから〝読書尚友〟は大事なのです。

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