2020年10月6日火曜日

マスクの苦手な人だっている

 少し前に、マスク着用を拒否して、飛行機から降ろされた乗客がいたけど、彼は拒否した理由をハッキリ言わなかった。マスクをすると気分が悪くなる、といったニュアンスのことは言っていたような気がする。遅延もあるから、他の乗客にとっては迷惑な話で、機内から出されるとき、思わず拍手が巻き起こったらしい。

 今はどこへ行くにもマスクが必要で、電車内などでマスクをしていなかったら、非難するような鋭い視線にさらされる。スーパーでも、毎週通っている市民プールでもそう。プールでは入り口で手の消毒と検温、追跡調査用の連絡先まで書かされる。

 最初の頃はマスク不足が大きな社会問題になったものだが、今ではマスクが過剰気味。地味で使い勝手の悪いアベノマスクは抽斗の奥深くにしまい込まれ、街は白、ピンク、黒、柄物と色とりどりのマスクであふれている。

 ボクは機内から出された乗客と同じで、マスクが苦手である。できるなら着用を拒否したい。10数年前の自分なら、そんな行為に及ばないのだが、今なら「No!」と言うかもしれない。なぜって、病気だからである。英語で言うとclaustrophobia。日本語で言うと「閉所恐怖症」である。

 ボクはある日突然この病気に罹ってしまった。結果、飛行機や地下鉄に乗れなくなり、今も飛行機には乗れない。長いトンネルや窓のない部屋もダメで、以前、地下のライブハウスで友人の演奏を聴いていたら突然呼吸が苦しくなり、慌てて部屋を飛び出したことがある。

「気道を塞がれる」というイメージがまずあって、過呼吸の発作が起きると、大げさではなく〝死〟を思ってしまう。そのため首を圧迫するネクタイなどはできることなら締めたくない。かなり重症だった頃、バスに乗っていて自分の左指の結婚指輪をさりげなく見ていたら、急に呼吸が苦しくなり、バスを飛び降り、近くのデパートに駆け込んだ覚えがある。宝石売り場へ急ぎ、「すみませ~ん、この指輪を大至急切断してくださ~い!」ボクは叫ぶように訴えた。

 店員は最初、こちらの慌てようにビックリしていて、事情が呑み込めないようだったが、こっちの必死の形相に飲まれたのか、大急ぎで切断してくれた。指から抜くのではなく切断。大事な結婚指輪だが、ボクは容赦なく切断した。指輪が外れた時、ボクは深く息を吸い込み、「ああ、助かった……」と、ようやく安堵した。店員は目を白黒させていた。

 閉所恐怖症なんです、と言うと、人はクスリと笑い、信じられないといった面持ちで、「そんなごっつい身体をしている嶋中さんが? 信じられな~い」とまじまじとボクを見つめる。身体つきは関係ない。性格も関係なし。相撲取りだって罹るし、殺されたって死にそうにないトランプ大統領だって罹るときはかかる。とにかく窓のない狭い部屋に閉じ込められると、気道が塞がれるという恐怖感に襲われ、パニック障害を起こす。ボクの場合はいわゆる過呼吸症候群というやつで、息が吸い込めなくなって気絶してしまう。

 あとで医者が言うには、「ムリに吸い込もうとするからいけない。吸い込むんじゃなく吐き出すんだ。吐き出せば自然と吸い込めるようになるから……」まさにそのとおり。ムリしてでも息をぜんぶ吐き出す。すると自然と息を吸い込めるようになる。医者の言うとおりだ。

 今でも医者に処方された精神安定剤みたいなものは服用しているが、朝の満員電車に乗らなくてはいけない、といった時以外は服むことはない。あれほど仕事で海外に行っていたのに、この病気に罹ってからは一度も海外渡航はなし。あの狭い飛行機に乗っていると想像しただけで、もう呼吸が荒くなってしまう。どうしても乗らなくてはいけないという緊急事態が起きたら、それこそべろんべろんに酔っぱらって乗り込み、同時に睡眠薬で眠りこけるしか手はない。そういう事態にならないことをひたすら祈る。

 あのマスク着用を拒否した乗客は、もしかしてぼくと同じ病気の「閉所恐怖症」だったのじゃないか。それともただのへそ曲がりか。

 とにかくこの新型コロナの流行が早く収まってくれないと、マスクとの闘いがずっと続くことになる。世の中には、マスクの苦手な人がいて、中にはこうした病気を抱えている人もいるんだよ、という事実も知っておいてほしい。

 コウモリっ食いの中国人のおかげで、世界中が迷惑している。あの豚まんみたいな顔をした習近平さんよ、土下座して世界の人々に謝りなさいな。まさかあれって、中国軍の開発した細菌兵器の一種じゃないだろうね。 




 



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