以前預かったチェコの留学生はとんだ食わせ者だった。
勉強も運動もやらず、ひたすら寝てばかり。部屋は荒れ放題で、
洗濯物も出さない。日本語はまったくしゃべれず、こちらは
ホトホト疲れ果ててしまった。あとで聞いた話だが、通った高校の
教師や同級生たちにもすこぶる評判が悪かったようである。
一方、今回預かったフランス人のLucas(ルカ・15歳)はなかなか
良さそうな子に思える。といっても今日はまだ会って3日目だから、
素性はよくわからない。一見、礼儀正しくしているが、とんだ猫っかぶりかも
知れず、もうしばらく様子見といったところか。チェコの留学生があまりに
ひどかったので、ごくふつうの子でも相対的に評価が高くなってしまう、
という理屈かもしれないし、こちらがより疑り深くなっている、
ということもある。名前のLucasは聖書の「ルカ伝福音書」に出てくる
聖ルカからとったもの。築地の聖路加国際病院のあのルカである。
聖人と同じ名前の男の子だ、よもやフランスの名誉を汚すようなマネはすまい。
チェコのT男は、日本語がほとんどしゃべれなかった。なぜか?
勉強しないからである。最初から日本語も日本文化も学ぶ気はなく、
アメリカへ留学するための足掛かりとして、たまたま日本のホスト
ファミリーをホテル代わりに利用しただけの話である。
現に、留学途中で、AFS日本協会の規則に反し、もちろん世話になった
複数のホストファミリーに何の挨拶もなく、アメリカに逃げていってしまった。
まるで無銭飲食の常習みたいな男であった。立つ鳥跡を濁さず、どころか、
とことん濁しっぱなしにして雲隠れしてしまった。
チェコ人の面汚しといってもいいだろう。
AFS日本協会も、これら多くの苦情を受け、AFSチェコ共和国協会に
「このような子は日本へ寄こさないでほしい」と猛烈に抗議したらしい。
今まで何人も留学生をあずかってきたが、あれほどまでひどい生徒は
初めてだった。運悪くそのウルトラ級の〝スカ〟を引いてしまった
ホストファミリーにとっては、まさに悪夢だった。
留学生不信に陥ってしまうのもむべなるかなだ。
その点、Lucasは来日してまだ数か月しか経っていないが、
日常会話に困らないくらい流暢に日本語を操る。自分自身でこのレベルの
英語をしゃべれるかというと、はなはだ自信がない。日本のアニメなどに
興味があり、また叔父にあたる人が仕事の関係(RICOH?)で日本に数カ月
滞在したこともあって、日本の事情をつぶさに知り得た、
というのも大きいかもしれない。
それとLucasにすばらしい点があるとすれば、生来のout-going(社交的)
な性格で、だれ彼なく〝ナンパ〟してしまう、というところにある(笑)。
誤解のないように願いたいが、この〝ナンパ〟は「友達になる」の意だ。
男女を問わず友達をいっぱい作るのは語学上達の一番の早道。せいぜいこの
ひよっこのCasanova君には〝ナンパ術〟に磨きをかけてもらいたい。
初日の夜は「夏野菜入りカレー」を作ってやった。
Lucasは野菜がきらい、と事前に聞いていたからだ。
特に苦いゴーヤがきらいというから、こんど自慢の
ゴーヤチャンプルーをたっぷり作ってあげよう。
←オカリナを吹くLucas。
←マスクメロンを平らげたLucas。
ボクに似て、なかなかの色男だ。
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