2020年8月19日水曜日

ツバメみたいに中身の充実した人生を送りたい

 コロナに梅雨の大雨、そしてトドメを刺すのが無慈悲な猛暑だ。
外へ出ると、すぐに汗だくになり、足どりが重くなる。
心なしか、みなうつむき気味に歩いている。なかにはよろけそうな人も。
 今年は何という厄年なのか。コウモリっ食いの中国人のおかげで、
新型コロナウィルスが世界中に蔓延し、特に基礎疾患を抱えている高齢者が
狙い撃ちにされている。
「もうあんたらは用済みで、世の中の厄介者なんだから、
ウィルスに片づけてもらって清々するよ」
 そんなふうに思っている人もいるかもしれない。何も好きこのんで齢をとった
わけではないが、高額医療費が国の財政を圧迫しているなどと聞くと、
高齢者でいることがひどく罪深いことのように思えてくる。
 昔は、自分が還暦を超えたじいさんになるなんて想像だにしなかった。
もしそうなるとしても相当先の話だろう、と勝手に決め込んでいた。
ところがどうだ。先の話どころかたちまち還暦を迎え、
いつの間にか孫ができ、誰が決めたのか「前期高齢者」などと呼ばれるようになった。
「おれたちは〝末期〟だからな。ハハハ……」
朝の体操仲間たちは、そのほとんどが「後期高齢者」。
彼らは用済みとなった自分たちを自嘲気味に〝末期高齢者〟と呼んで嗤う。
 歳月人を待たずというが、いつまでも若いと思っていたらこのザマだ。
ボーッと生きているとあっという間に年を食ってしまう。地球は46億年の歴史を持ち、
人類はわずか20万年の歴史しかない、といわれるが、となると個人の寿命なんて
零コンマ1秒の瞬きにも値しない。つまり、人類の存在なんて〝無〟そのものだ。
 セミは地中に7年、地上に出て7日の命というが、力の限り鳴き続け、
子孫を宿して生涯を終える潔さを、人間は少しは見習ってもよいのでは。
ただべんべんと生き永らえることだけが人生ではない。「人生100年時代」
といわれるが、1年半の寿命しかないツバメは毎日働きづめで、必死に子育てに
精を出している。パチンコや〝昼カラ〟でムダな時間を過ごしているヒマなど
なさそうなのだ。ちなみにカラスは時に60年近く生きるものもあるという。
 「人生は死ぬ時までのヒマつぶし」と喝破したのは師匠・山本夏彦だが、
どうせヒマをつぶすのなら、世のため人のためになりそうなヒマをつぶしたい。
ボクは物書きのはしくれだから、できることといったら文章を紡ぐことくらいだが、
ここ数年はご無沙汰だった。長引く出版不況の中で、売れそうもない著者に仕事を
依頼するマヌケな編集者はいない。
 ところがいたのである。久しぶりに「本を書いてくれ」と依頼があった。
怠け癖のついたボケ老人にはたして本が書けるだろうか。過去に数十冊書いてきた
実績はあるのだが、いかんせんブランクが長い。酒ばかり飲んでいるから、肝心の
脳みそが発酵し始めている。
(こんなマルコメ味噌みたいな脳みそで、文章が書けるだろうか?)
 おじさんはにわかに不安に苛まれているのである。
 というわけで、しばらくは酒量を少しばかり落とし、まともな脳みそを
復活させることにする。
 

 

2 件のコメント:

  1. マルコメ味噌はおいしいですよ~…あ、ご無沙汰しておりました。
    筆不精の木蘭でございます(^-^;

    私も来年の今頃は、赤いちゃんちゃんこを着ていることでしょう(笑)

    ツバメはまことに偉いといつも思っています。
    遠くから渡ってきて、
    巣をつくる場所を決めて巣作りを始めます。
    すると地元のスズメたちの妨害に遭い、
    しばらく闘いが続き。
    負けてしまうと巣はスズメの物。
    でもスズメにはツバメの作った巣は合いません。
    藁とか枯れ草を詰め込んで、
    うんと汚くしてから去っていきます。

    ツバメが勝ったとしても、
    親ツバメが留守中にスズメが卵やヒナを巣から落としてしまうこともままあります。

    そんな闘いをしながら、子育てをし、
    さてそろそろ巣立ちかな~と思っていると、
    今度は蛇に子供たちが食べられてしまう。

    親ツバメたちは一日二日、巣の周りにいますが、
    次の場所を探しにいくのです。

    「同じ立場だったら、きっともう二度と立ち直れないだろう」
    私はいつもそう思うのです。

    どんなつらいこと、悲しいことがあったとしても、
    生きることをあきらめない。
    死ぬまで「生きる」という姿勢を決して崩さない。
    そんな自然界の生き物たちから学ぶことが沢山あります。

    「死ぬまで生きる」

    私もかくありたいと。



    発酵食品は大切です(笑)

    どのような内容の本になるのでしょうか。
    とても楽しみです(*^-^*)




    返信削除
  2. 木蘭様
    お久しぶり。
    音沙汰がないので、なにか気に障るようなことを言ってしまったかな、
    とずっと気にしていました。

    お元気そうで何よりです。
    こっちもどうにかこうにか生きています。
    コロナニモマケズ、大雨ニモマケズ、真夏ノ暑サニモマケズ、
    丈夫なカラダヲモチ、イツモがみがみ怒ッテイル。
    ソウイウ人ニ、私ハナリタイ。

    ツバメがそんなに苦労任だとは知りませんでした。
    あまりに寿命が短いので、ふとツバメの生涯に思いを馳せてみたんです。

    「死ぬまで生きる」
    このことは大切ですね。どんなに生き恥をさらしても、どんな誹謗中傷が
    あっても、蛙の面に何とやらで、軽く受け流す。

    ネット上の中傷に堪えきれず、自ら死を選んでしまった女子プロレスラー
    がいました。可哀そうなことをしたと思いますが、自死という選択は
    サイテーの選択でした。

    親にもらった大切な命を、ボロ切れを捨てるみたいにドブに流すというのは
    ボクには信じられない。弱すぎます。精神が弱すぎます。

    ボクは今、よほどクジ運が悪いのか、団地(1619世帯)管理組合の副理事長をやっています。来年は理事長で、これまた運悪く大規模修繕工事の年に当たります。

    約5000人も住人がいますから、なかには頭の壊れた人も数人います。
    その中の一人は訴訟フリークで、何かというと管理会社と組合役人を訴えます。

    先日も地裁で口頭弁論があったばかりです。
    なにしろ管理会社と役員は癒着していて、甘い汁を吸っているに違いない、
    などとラチもないことを言っては訴えてくるのだからたまりません。

    こんなバカは一発パンチをお見舞いしてやったほうが本人のためなんですが、
    立場上、グッと抑えています(笑)。

    というわけで、5000人を束ねていくだけでなく、
    本業の執筆もせにゃならん。首うなだれているヒマなどないのです。

    発酵しすぎたマルコメ味噌の頭で、なんとかこの難所を乗り切っていきたいと思います。
    木蘭さんもお元気で。

    返信削除