日本海側では豪雪に見舞われているようだが、太平洋側、とりわけ関東地方は
おだやかな冬晴れの日が続いている。ニュースなどでも連日報じられているが、
毎日、雪掻きに明け暮れる生活はさぞ大変だろうと思う。でも雪下ろしをやらないと
家がつぶされてしまう。また家の前の雪掻きをやらなくては外出もままならない。
ボクみたいに腰痛という持病を抱えている人間にとって、雪掻きは拷問に近い。
ボクは2月という寒い季節に生まれた。その割には寒さにからっきし弱い。
「手洗いとうがいだけは忘れるな!」と家人に号令をかけている当の本人が、
一番風邪をひきやすいのだから情けない。寒さだけではない、暑さにも弱い。
また女にも弱い。「じゃあ何に強いんだよ?」と訊かれても困る。
何か一つくらいは強いものがありそうな気がしているのだが……😔。
寒いといえば、日本で一番寒い町をご存じだろうか。北海道の旭川で、
1902年の記録だが、-41℃を記録したという。陸別町も寒い。この町は、
真夏が30℃以上で、真冬が-30℃以上。かつては「70℃の温度差がある町」
として知られていたらしい。そんな町に住んでいたら、お肌の敏感なボクなんか
きっとジンマシンに悩まされることだろう。寒冷ジンマシンというもので、
あまりの温度差に皮膚が順応できなくなるのだ。
ボクは70℃の温度差どころか〝90℃の温度差〟を経験している。
実は日本一寒い場所は旭川ではないのだ。もうお気づきかと思うが、
そんな場所が築地にもある。マグロを超低温で保存する冷凍倉庫である。
ボクは-60℃の世界をぜひとも体験したくて、懇意の仲卸業者に頼み、
築地場外にある冷凍倉庫に入れてもらった(←閉所恐怖症を発症する前の話です)。
まず防寒服に着替え、-40℃以上の極寒に耐えられる長靴、
軍手にニットの目なし帽、といういでたちである。まるで南極か
コンビニ強盗にでも行くような格好だ。
いざ冷凍室に飛び込んでみると、肌に突き刺さるような寒さがズシリと襲ってきた。
冷凍室は30畳ほどの広さで、ホンマグロ、ミナミマグロ、メバチと魚種ごとに
保管場所が区分けされている。案内してくれたYさんは、平気な顔して100キロ
近くあるマグロの積み下ろしに精を出している。長い時は連続2時間も入っている
ことがあるという。
「入ったら入りっぱなしで動いていたほうがいいんだ。
いったん出てしまうと、次に入ったときは10分も我慢できない」
とYさんは言う。一方ボクは、入ってからずっと咳き込んでいる。
「鼻で息をしないこと、ゆっくりと口呼吸をするんだ」
と言われてはいたが、ついむせたように咳き込んでしまう😖。
サウナ風呂の中で鼻で呼吸すると肺の中が焼けたようになるが、こっちは逆に
肺の中の細胞が凍傷に罹って急激に収縮するような感じがする。何度も咳き込み、
うまく呼吸できない。指先が寒さで痛い。
(何かの手違いで、このまま閉じ込められてしまったらどうしよう……)
そんな不安が脳裏をかすめる。
ああ、もうダメ。頭がクラクラする。これでついに一巻の終わりか、
とインドマグロの心持ちになりかけたら、Yさんが呆れ顔で外に出してくれた。
ボクは転げ出るように脱出し、思い切り息を吸い込んだ。
ハアハア、助かった……これで女房子供の顔が拝める。😭ウウウウ……
戸外の温度は30℃。-60℃から+30℃の世界へ。温度差は実に90℃だ。
それにしてもすごい寒さだった。息を吐くと白く煙り、その煙が氷のしずくと
なってサラサラと落ちていくのだから呆れる。もっと厚着をしていくべきだった、
と心底後悔した。
テレビで西日本は鳥取の豪雪ニュースを取り上げていたので、
ふと思い出すままに書きとめてみた。
←世界一寒い町がロシアのオイミャコン。
零下58℃だという。-60℃の冷凍倉庫内も
こんな感じだった。マグロの代わりに
可愛いロシア娘が凍っていたら、何時間でも
我慢できたのに……😍←バカ
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