昨日は久しぶりに上京した。
池袋まで13分、新宿まで19分で行けるのに、
「久しぶりに上京」とはまたずいぶん大袈裟な、と思われるかもしれないが、
膝がイカレちまって、人並みに歩けないボクにとっては、たとえ10分台で
行けたとしても、県境を越えるのは、これでまた一大決心なのである。
行ったところは赤坂の某イタリアンレストラン。
ボクと長女の誕生日(長女は2日違い)を祝うための会食である。
会食はイタリアンかフレンチが多い。女房が料理記者をやっていて、
都内のめぼしい店はほとんど知っているからだ。
重金敦之という作家がいる。料理にもめっぽう強くて、
世に聞こえた食通でもあるが、その重金が、自身のブログ内で、
こんなことを書いている。
《『本当においしく作れるイタリアン』(西口大輔著・世界文化社)という
本の編集者の名前を見たら、河合寛子さんだった。イタリア料理の本を作らせたら、
現在彼女の右に出る人はいない……》
ずいぶん過分にお褒めいただいたものだが、
この河合寛子が不肖わたくしめの女房であります。
昨日は合同誕生会であったが、身重の次女が産休に入る日でもあった。
予定月は4月だが、お腹周りは、もう稀勢の里のそれに匹敵する。
「10キロも太っちゃった……」
と、あの痩せっぽちの次女が恥ずかしそうに言う。婿さんは100キロ超級の
巨漢だから、生まれてくる子も、もしかすると…………かもしれない😅。
ボクへの誕生日プレゼントは「ハズキルーペ」だった。
日頃から「文庫本の字が読みにくくなった」とこぼしていたから、
老眼鏡の上からもかけられるこのルーペを買ってくれたのだ。
活字中毒者のボクにとっては何よりありがたい贈り物である。
ああ、それにしても、とうとう〝前期・高齢者〟の仲間入りか。
あと10年もすると〝末期〟となり、そのうち頭の上に土くれが
パラパラっとかかって一巻の終わり。そう考えると、人生なんて
ほんとうに短くあっけない。「少年老い易く学成り難し」とは
よく言ったものである。
「読書尚友」という言葉がある。書物を読んで昔の賢人たちを友とすること、
という意味である。ボクの師匠の山本夏彦は《本を読むということは
死んだ人と話をすること》と言った。自分よりずっとずっと偉い人たちの
考え方にふれたり、その人たちと対話することはこの上ない喜びである。
ボクは金持ちではないし、いつもボロばかり着ている年寄りだが、
本を買う金だけは惜しまない。すでに万に近い本を読んできたつもりだが、
森羅万象のすべてを知っているわけではもちろんない。なにしろ自分の
尻の拭き方すら知らなかったのだから、読書尚友が聞いて呆れる。
「あなた、そんなカッコウでお尻を拭いてたの?」
齢のせいで身体が硬くなったためか、トイレでうまく尻が拭けない。
女房にそのことをこぼしたら、
「いったいどんな格好でお尻を拭いてんの?」
というから、目の前でいつもの〝ウンチングスタイル〟を実演したら、
「ギョエー!」と女房がのけ反った。
上海雑技団みたいにむりやり体をひねっていたから、
女房の目が思わず点になったのだ。どうやらボクは、
この60余年間、とんでもない格好でおケツを拭いていたらしい。
読書尚友といっても、先人たちは尻の拭き方までは教えてくれなかった。
おいしいイタリアンの話が、突然、尻の拭き方へと話が飛んでいってしまった。
齢をとると品性が怪しくなるから困る。何卒ご寛恕のほどを。
←ワインを飲みながら料理を
心ゆくまで堪能させてもらいました。
これはランチのコース料理。
プリモピアットのパスタとセコンド
の肉料理は他に何種か選べる。
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