2019年12月5日木曜日

「ちがくない?」ってどこの国の言葉だよ!

中学の頃だったか高校の頃だったか、しかと思い出せないのだが、
友人N君宅へおじゃましたら部屋じゅう本だらけだった。書棚といわず床といわず、
本であふれ返っていたのである。ボクはこれを見て(恥ずかしい……)と思った。

なぜ恥ずかしいと思ったのか。
友人がボクなどよりはるかに読書家で、本の背表紙を眺めただけで
(ボクなんか及びもつかないくらい幅広く深遠なことを考えている)
と、瞬時に思ったからだ。自分では秘かに読書家を任じていただけに
敗北感らしきものもあった。

友人の中には書棚の本のすべてにカバーをしてしまい、
何に関心を持っているのか〝心の内側〟を見透かされないように用心する者もいた。
特に社会科学系の本は背表紙を見ただけで「保守か革新か?」くらいはすぐ分かる。
だから党派性をさとられないようにするため、本に目隠しをしてしまうのである。
いずれにしろ、全共闘世代に続くボクたちの世代は政治にも関心が高く、
総じて読書家が多かった。

ところがどうだ、今朝の読売の朝刊の第一面にはこんな見出しが。
文章作れぬ若者――略語やスタンプ SNSから乱れ』と。
先日来、OECD(経済協力開発機構)による国際的な学力調査で、
日本の若者(15歳)の読解力低下が浮き彫りになった。
主語・述語が不明確で意味が通じない。要らない助詞をやたらと足す……etc。
ある大学の教授は、
「ゼミで発表させると、『そして』『そして』『そして』……を連発する学生が
いっぱいいる」
と嘆いている。「なぜなら」や「しかし」など文脈に応じて接続詞を使い分けるのが
ふつうなのだが、LINEなどの短文に慣れてしまっているためなのか、
「そして」しか使えない、というのだ。

某大学講師は、
「〝きれい〟の否定形を〝きれいくない〟と言われた」と呆れたものだが、
「ちがう」の否定形を「ちがくない」という若者がいることはすでに知っている。
電通や博報堂の作るテレビCMには、こうした妙ちくりんな言葉がしょっちゅう
顔を出す。大手広告代理店はこうした若者言葉を使うことで、「最先端」のCM
を創ってるんだぞ、と自負しているようなのだが、愚かなことだ。
ボクは日本語の乱れを助長させているのは電通や博報堂だと思っている。
昔は「士農工商、犬、広告」などといわれた。犬以下なのは相変わらずだ。

また他の大学講師は、
「〝おじいさん〟〝おばあさん〟は言えるが〝祖父〟〝祖母〟が出てこない」
と、若者たちの間に起きている言語障害的な〝異変〟を報告している。
そういえば、自分の母のことを人前で「お母さん」という若者が増えている。
こういうおバカな若者が長じると、「うちのワンちゃんが亡くなりまして」
などと平気な顔で言い出すのだ。

こんな幼稚園児並みのオツムを持った大学生がウヨウヨいるというのだから、
SNSやスマホの弊害は測り知れない。以前も書いたが、大学生の2人に1人、
つまり50%は1ヵ月に1冊も本を読まないのだという。ボクが学生の頃は
寸暇を惜しんで本を読み、年間300冊はふつうに読み飛ばしていた。
読書は習慣だから、スマホ中毒の若者にいきなり読書を勧めても
効果は期待できない。子供の頃から本に親しんでいないと、読書の習慣は
身につかないのだ。

若者の国語力が怪しくなったのは、小中高校での国語の授業で、
長文読解の訓練がなされていない、というのも大きい。
一昨年、わが家にホームステイした仏人留学生のルカは、
ヒトラーの浩瀚な『我が闘争』(英語版)を平気で読みこなしていた。
ルカが本を読んでいる時の集中力はすさまじく、周囲の物音など
まったく意に介さない、という感じだった。

人間として一番大切な教養というものは読書を通してしか身につかない。
日本は学歴社会というが、学歴など「なんぼのもんじゃい!」とボクは思っている。
どこそこの有名大学を出ました、などということにはとんと関心がないのである。
というか、「学歴」なんぞを自慢のタネにしている人間はみんなロクデナシに
決まっている。肩書きを取った丸裸の自分のキャラクタ一に自信がなく、
キャラクターだけでは人を惹きつけられないつまらない人間だからだ。

だから彼らは「学歴」や「職歴」に執拗にこだわる。結果、彼らはその金看板を
失った途端に精彩を欠くようになり、凡骨の身であることを再確認するのだ。
まったくもってご苦労なこった。

高学歴で無教養、という人は佃煮にするくらいいる。
東大出の高級官僚たちは総じてこの類だから、
「ゆとり教育」の失敗に見られるように、文科省の学習指導要領は
いつだって本質を外れた半端な物になってしまっている。
その結果が、日本語を満足に書けない若者たちの出現である。

OECDの学力調査(15歳)では「読解力」「数学」「科学」の3分野で
支那がトップだという。日本の15歳は「読解力」で15位、「数学」で6位、
「科学」で5位だった。過去最低の成績だという。
支那人の後塵を拝するどころか、すでにそうなってしまっている。
平和ボケでスマホ中毒でゲームばかりに血道を上げるノーテンキな高校生たちよ!
もっとしっかり勉強せんかい!







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