2020年5月27日水曜日

マスクしててもイケメンはイケメン

前方に手を振るおばちゃんがいる。
一瞬、「はて?」と首をかしげるが、すぐ「ああ、Sさんね」とわかり、
こっちも手を振る。ボクの手の振り方は小学生の女の子がやるような
ド派手なものだから、おばちゃんは笑い出す。

帽子を目深にかぶり、おまけにサングラス、マスクときたら、
(あれっ、誰だっけ?)
となってしまう。互いに〝コンビニ強盗〟みたいないでたちだから、
背格好とか歩き方などで誰であるかを識別しなくてはならない。
この数カ月で、その〝識別能力〟は格段に上がったのではないか。
あんまり自慢にはならないが、ま、一種の生活の知恵みたいなものだろう。

コロナ禍のおかげでライフスタイルが相当変わりつつある。
外出時のマスクは必需品になってしまったし、帰宅したら手洗いと
うがいは欠かせない。「before」「after」で見ても、新型コロナ以前は、
互いに顔を近づけ、ガハガハ笑い合ったり、カラオケでデュエットする
なんて当たり前のことだったが、コロナ以降はどうしても〝飛沫感染〟が
頭にこびりついているから、自然と距離を置くようになるかもしれない。

それとテレワークが当たり前のようになってくると、
毎朝揃って会社へ出勤するという慣習が、
なんだか不自然なものに思えてくる。
オフィスに出社しなくても生産性が変わらず仕事が回っていくのなら、
気の向いたときに出社すればいいじゃん……。
かつての〝痛勤族〟はそんなふうに思うのではないか。

現に娘夫婦の通う会社(夫婦それぞれ大手電機メーカー勤務)も、
〝在宅勤務が基本になる〟というようなことが新聞に報じられていた。
自宅で働くことになると、通信費や水道光熱費など余計な出費が嵩む。
が、それらも一定額が会社負担になるだろうという。

また、在宅勤務が〝ふつう〟になると、なにも大枚払って都心の
マンションやアパートに住む必要がなくなる。比較的安価な郊外住宅に住んで、
週にいっぺんくらい往復数時間の通勤に耐えればよいからだ。となると、
都心一等地に建つタワマンなど高額物件の価値が一気に暴落することが予想される。


話変わって、外出自粛が要請されている時、仲間の一人が
「Zoomを使って飲み会でもやろうよ!」
と提案した。オンライン飲み会が行えるサービスは、他に文字どおりの「たくのむ」
や「LINE」などが挙げられるが、ボクはまったく気が乗らなかったので遠慮した。
そこまでして飲みたいとは思わないからだ。

それにしても文明の利器というものはいつの世でも耳目を驚かす。
人類30万年の歴史の中で、パソコンの画面を見ながら相手と酒を飲んだり、
会議ができるというのは初めてのことではないのか。
「国際電話」にビクついていた世代のボクは、初めて「skype」をやった時、
腰を抜かすほど驚いたものだが、今ではそんなものごく当たり前のもの
になってしまった。これでさらに〝5G〟の高速通信時代になったら、
いったいどうなってしまうのだろう。ボクみたいな旧人類は、
「〝労兵〟は死なず、ただ消え去るのみ」と呟くしかないのだろうか。

コロナの災いが転じて福となってくれればよいのだが、
はてさてどうなりますか。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、
まだまだ油断はできない。しばらくの間は、「コンビニ強盗スタイル」
で勘弁してもらうしかない。こんな怪しい格好でも、懇意のおばちゃんは、
「イケメンはマスクにサングラスしてても、やっぱイケメンだわね」
だって。ガハハハハ……(←おい、ツバが飛ぶだろ!)
お後がよろしいようで。



























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