2017年2月10日金曜日

勇気と想像力と少しのマネー

あのバブルの時代に、マダガスカル島へ行ってくれ、はてはバイカル湖の畔に
行ってくれ、クロアチアの何とかという街に行ってくれ、などという話があった。
日経BP社の依頼で、何のことはない、あらかじめ決められた場所で朱印を捺し、
7日間で世界を一周する。その波乱の顛末を面白おかしく雑誌に書いてくれ、
ついでに書籍にも仕立ててくれ、というのである。

気宇壮大といおうか破れかぶれの勝手放題というべきか、
要するに金満ニッポンのガリガリ亡者どもが、
カネにあかせて半ば面白半分に考え出した、
糞のつっ支い棒にもならないスタンプラリーのような企画である。

ギャラはめちゃくちゃよかった。が、バカバカしいから断った。
こんな企画を必死こいてやっても、世の中のために何の役にも立たない。
人間は慾とカネにまみれると、底なしに堕落するものだな、と思った。

前回のブログに性格俳優の宇梶剛士についてふれたが、
日本最大の暴走族を束ねていた宇梶が、少年鑑別所に入っていた時、
母親が差し入れてくれたのが『チャップリン自伝』だった。
チャップリンの不遇な少年時代が宇梶のそれと重なったのだろう、
この一冊の本によって宇梶は〝不良〟を卒業し、みごと更生した。

チャップリンは映画の中で数々の名言を吐いている。
All it needs is courage, imagination, and a little dough(some money).
人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しのマネーだ。

こんなのもある。
The saddest thing I can imagine is to get used to luxury.
私が想像できる最も悲しいことは、贅沢に慣れてしまうことだ。

ついでにもう一つ。
We all want to help one another. Human beings are like that.
We want to live by each other's happiness, not by each other's misery.
私たちはみな互いに助け合いたいと思っている。人間とはそういうものだ。
相手の不幸ではなく、お互いの幸福によって生きたいのだ。

「貧すれば鈍する」というのは分かる。
が、富めばまた鈍することも確かなことだ。

こうしたことを慢性金欠病のボクが言っても、説得力はゼロだが、
武士は食わねど高楊枝。keep one's chin upするためには、
福沢諭吉の言う〝痩せ我慢〟ってやつが必要になる。

武士は13世紀に誕生した。13世紀に一組の夫婦がいて、
3人ずつ子を産んでいくとすれば、ざっと今の人口になるという。
とすれば、日本の男女はことごとく武士の末裔ということができる。
司馬遼太郎は言っている。
武士というのは階級ではなく倫理形態です》と。

もっといえば、腰の二本差しは人を斬るためのものではなく、
おのれの志操(守って変えない志のこと)を正しく保つための証明だった。

武士の末裔で、たとえ飢えても群鶏には交わらぬ、とする気概を
生涯持ち続けたいボクは、勇気と想像力と少しのマネーを糧に、
贅沢に背を向け、他人の幸福のために生きてゆきたい……
とまあ、臆面もなく気障なセリフを吐いてしまったが、
半分はホンネで半分はデマカセ?である。

やっぱり何の取り柄もない凡夫匹夫には、
《世の中のカネと女は敵(かたき)なり どうぞ敵とめぐり会いたし》
のほうがストンと腹に落ちますかね😅、へへへ。




←貧しきチャーリーはいつだって人に優しかった




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4 件のコメント:

  1. 嶋中労さま

    こんにちは。

    ここ二日間、顔のほてりが止まらず、男の更年期に突入した田舎者です。

    労さまのブログの中より後世に残したいと勝手に思う言葉を覚えきらませんので
    パソコンに残すようにしました。今回の『チャップリンの名言』が二回目で最初は
    佐藤愛子さんの『佐藤は言う』でした。労さまが『ダメだ』言われても
    続けていきますので、諦めてください。

    この保存した言葉を読み返す度に、こんな素敵な言葉を吐ける人に少しでもちかづきたいと
    おもうのであります。

    ありがとうございました。

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  2. 田舎者様
    ボクもエミちゃんと会って以来、顔のほてりがとまりません。
    とっくに更年期は過ぎてますが、スケベ心だけは健在なようで、
    こればっかりは愛子女史やチャップリンの名言をもってしても
    治しようがないのです。

    田舎者さんも実物は会津小鉄会の若頭みたいな風采で、
    まさに極道を絵に描いたような面つきですが、
    心は純朴そのもの。

    いつだって美しい人間になりたいと精進しているんですよね。
    あなたはすでに立派な「一隅を照らす」人であります。
    お互い、がんばりましょう。

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  3. えみちゃん2017年2月12日 9:25

    また〜、ほてったのではなく、血の気が引いたのでは???

    おはようございます。
    先日はお二方の飲み会に突然顔出ししまして、
    失礼致しました。そして、短い時間ではありましたが、有意義な時間をありがとうございました。お礼が遅れて申し訳ありません。
    お会いした次の日、
    息子はやはりインフルエンザと診断され、
    その後主人赴任先に行ったりと、
    以来バタバタと過ごして参りました。

    昨日、田舎者様にもやっとお礼を言うことができました。(あの日以来お会いしていなかったものですから)

    私も心美しい人間になれるよう、精進しようと思います。

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  4. エミちゃん様
    息子さんはもう大丈夫ですか? 心配ですよね、親としては。
    さて顔のほてりですが、エミちゃんは想像していたとおりの才色兼備の女性でした。
    そして心も清らかで美しい。ボクはそういう女性を前にすると、
    顔がほてるんです。アレルギーじゃなくて……(笑)。

    田舎者さんは求道者なんです。
    いつも真実を求め、あるいは清廉な生き方を求め苦悩している。

    あんな顔してますが(笑)、感受性の豊かなまっとうな男なんです。
    どうかいろいろ話し相手になってやってください。

    顔のほてりが取れた頃、またみんなで会いましょう。

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