2017年2月7日火曜日

遺恨十年、一剣を磨く

初めてボクに会った人は、ほとんど例外なく、
「最初は怖そうな人に思えた……」
と、あとになって告白する。取材先などでもよくこう言われた。

女房は、
「目つきが鋭くて怖いのよね。それに身体がごっついし……」
などと言う。義姉を除き、男兄弟すべてが怖い目をしている、と畳みかける。
こっちは「そうかなァ……」と思い、鏡を見る。なるほど怖い。

運転免許証の顔などはひどいものだ。どう見たって人を10人くらい
殺していそうな顔をしている。この凶暴な顔にニット帽をかぶり、
グラサンをし、マスクで顔を覆ったら、もろ〝コンビニ強盗〟である。
以前、この格好でコンビニに入ったら、店員が連絡したのだろう、
奥から店長が飛び出してきて、店を出るまでずっとこちらを監視していた。

最初の印象は大事である。ボクの場合は、見た目がこれだから、
あまり好感されず、逆に怖れられてしまう。
が、話してみると意外や気さくでやさしい男であることが分かり、
そのギャップが、かえって好印象につながる。

トランプ大統領もボクのマネをしたのだろう、最初に〝ガツン〟とやっている。
さんざっぱら悪口雑言を浴びせかけ、相手をひるませたところでご対面。
「あいつは話の分かるいい奴だ」
と世辞のひとつも言ってやればビビっていた相手は感激し、
肝心の交渉事のほうでは大幅に譲歩してしまう。
なかなかうまい作戦である。

俳優の宇梶剛士は、若い頃、相当グレていて、日本最大の暴走族
ブラックエンペラーの7代目総長をつとめていたという。メンバーは
2000人以上というから、それなりのガッツと統率力があったのだろう。
当時の写真を見ると、モデルになれそうなくらいの男前だ。身長188センチ、
出生時の体重は5キロだったという。母親はアイヌの詩人・宇梶静江である。

ある日、宇梶はふいにチンピラやくざに囲まれてしまう。彼らは手に手に
日本刀の抜き身をぶらさげ、「ぶっ殺してやる!」などと叫んでいる。
宇梶は「もうだめだ、今日でこの世も見納めか」と半分観念したという。
が、意外に気持ちは落ち着いていたという。で、出てきたセリフが、
「おお、上等じゃねえか、殺してみろよ。殺してみろってんだよ!」
大迫力で凄んだという。

ボクも殴り合いのケンカを何度となくしてきたから、土壇場での意外な平常心
というのがよくわかる。周りの状況がよく見え、相手の表情から、どんな攻撃を
しかけてくるかが予測できたりするのである。その予測が外れたのは、
チンピラ相手にやったときだけ。相手の反則技がまるで読めず、
気を失うくらいまでボコボコにされてしまった。完敗である。

何度も言うが、ケンカは〝先手必勝〟である。
相手の急所めがけパンチを繰り出せば、相手はたちまちひるんでしまう。
ただし警察沙汰にされるとまずい。過去、2度ほど警察のお世話になった。
調書をとられ、DNAも採取され、検察庁にも行った。だが2度とも不起訴処分。
こちらの言い分が認められ、正当防衛ということになった。
ボクは喧嘩っ早い性格だが、義のない闘いはしない。

話変わって「いじめ」の話題。テレビのニュースでは連日のようにいじめによる
自殺が取り上げられている。いじめるほうもいじめるほうだが、いじめられる側
はいつだって受け身である。死ぬ度胸があるのなら、思い切って立ち向かって
いけばいいのに、と思ってしまう。宇梶のように日本刀を持ったヤクザ者に囲まれ、
「ぶっ殺してやる!」と凄まれたわけでもあるまい。ダメもとで、こぶしを振り上げ、
いじめのリーダー格に向かって立ち向かっていけばいいのだ。

それには身体を鍛え、筋肉をつけておかなくてはならない。
護身のために空手や合気道を習うのもいいだろう。
とにかく福沢諭吉の言うところの〝獣身〟を養うこと。
へなへなした肉体では土台相手に勝てっこない。
そして最後は窮鼠猫を噛む「気魄(きはく)」である。
男の値打ちはいつの時代にあっても、最後は気魄なのだ。

人間社会も動物社会と同じ、「弱肉強食」と心得るべし。
弱い奴は負け、強いものが勝つ。いじめで自殺する人間は、
しょせんは負け犬の弱虫なのだ。

いじめと差別は有史以来続いている。
これからも続く。解決策などない。
「やられたら100倍にして返してやるからな!」
というオーラを全身から発していれば、まずいじめられることはない。
国防と同じで、この気魄こそが抑止力となる。

いじめられて自殺した奴にボクは同情などしない。
いじめる奴も好かんが、いじめられる奴も好かんのだ。
男はすべからず「十年、一剣を磨く」の精神で生くるべし。




←宇梶剛士の若いころ。
ボクに似て、すっごくいい男。

2 件のコメント:

  1. しまふくろうさま、こんにちは(^^)/
    初めてのお電話での「・・・はい」の声が怖かった木蘭でございます。(笑)

    いじめとはまた違いますが、
    私の師匠は子供のころから合気道を習っていたせいでしょうか、
    中学生の時、他校の生徒から喧嘩をしかけられることが多かったそうです。
    学校に来たときは、
    体育の先生も出張って、一緒に他校の生徒を追い払ったそうです。

    ある日大勢に囲まれて、けちょんけちょんにやられたことがあったそうですが、
    「一対一なら絶対に負けない」と、
    一人ずつに仕返しをしに行ったそうです。
    それも全員の腕を折ってきたと(*_*;

    たった一人に大勢でやるのはあまりにも卑怯。
    ということで、かなり頭にきた結果ということでした。

    現代はとくに「卑怯」とか「恥ずかしいこと」ということがわからない人が多いように思います。
    動物やお年寄りを始め、弱いものいじめが急増しているのは悲しい現実です。

    しまふくろうさまには是非とも、
    水戸のご老公や、破れ傘刀舟になっていただき、
    悪人退治をお願いします。<(_ _)>(笑)




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  2. 木蘭様
    破れ傘刀舟ですか、古いですね(笑)、齢がわかっちゃいますよ(笑)。
    たしかに「卑怯」ということの意味がわかってないような気がします。
    ボクたち世代は、東映チャンバラ映画の世代で、勧善懲悪、怯懦は恥、なんて倫理・道徳観が
    備わっていますが、現代はダークヒーロー、ダーティヒーローの時代ですからね。
    善と悪との境界線がハッキリせず、どんな行為がカッコいいのか明確な基準がない、
    というのが現状ではないでしょうか。

    悪漢ばらをやっつけるのはいいけど、
    ボク一人じゃ心もとないな。
    ぜひ木蘭さんにも助っ人をお願いしたい。

    木蘭さんは全身あざだらけ、額に向こう傷だってあるだろうから、
    相手だってビビりますよ。

    コンビニ強盗まがいのおっさんと美しい尼さんコンビ。
    夜な夜な悪を懲らしめたりすれば、たちまち評判になりますよ。

    そうすりゃ、ピコ太郎みたいに、一躍億万長者になるかも!
    「おぬしも相当悪じゃのう……」
    どこからかそんな声が……。

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