今夏、留学生をあずかることにした。
例によって娘たちがお世話になったAFSのボランティア活動で、
今回はフランス人の高校生だ。性別は♂(オノコ)である。
去年はチェコ人の♂と数カ月にわたって寝食を共にした。
それまであずかったのは女の子ばかりで、これが揃って勉強熱心な子ばかり
だったので、この♂にも大いに期待したのだが、みごとにハズレだった。
実際、トラウマになるくらい、立つ鳥跡を濁しっぱなしだった。
留学生はもうこりごり、と一時はかなり落ち込んだものだが、
たまたま運悪くスカを引いてしまったのだろう、と思い直すことにした。
そのスカを追い出した後、数日間お世話したスロヴァキアの女性は、
まさに才色兼備の理想的な留学生だったからだ。
異文化交流はすべてうまくいくとは限らない。
同じ屋根の下で数ヵ月を共にする、というのは、異文化と異文化が
ガチンコでぶつかり合うことであって、当然ながら誤解による不仲、
という事態にもなり得る。現に、ホストチェンジは少しも珍しくはない。
プライバシーを守れる一部屋を当てがってやり、三食食べさせてやる。
これを無償でやるというのが条件で、旅行へ連れて行ってやったりする
のもすべて持ち出しである。ボクの娘たちはイタリアとアメリカでそれぞれ
ホストファミリーに恵まれ、今でも深い交流が続いている。
次女の結婚式にはわざわざアメリカから参列してもらったし、昨年は、
長女のホストブラザーが友人たちと来日し、わが家で大宴会を催した。
せめてそのご恩返し、と思って留学生を受け入れてきたのだが、
たまに出来損ないのスカを引いてしまうことがある。
7月からあずかるフランス人がそのスカでないことを祈るばかりだが、
そればっかりは籤(くじ)を引いてみないことにはわからない。
フランス人が来るからといって、
毎晩フランス料理を出してやるわけではない。←そんなもん、食ったことねえや!
いつもの粗末な餌をあてがってやるだけで、特別扱いする気はサラサラない。
聞けばこの♂の高校生は運動が苦手で、食もひどく細いらしい。
好きな食べ物は〝あんこ〟というから、朝食は饅頭か鯛焼きにしよう。
そういえば、うちのカミさんも、頑丈でよく働き、おまけに少食だ。
結婚するならそういうコスパな女がいいな、と思い定めていたら、
ちょうどいいタイミングで目の前に現れたので、
ひょいとつまんだのがウンの尽きだった。
さて話が脱線してしまったが、要するに、
夏からあんこ好きで少食のフランス人留学生が居候する、ということだ。
見た目はジャニーズ系っぽいので、番犬代わりにはならないと思うが、
あんこを餌に、日本語と日本文化のすばらしさをみっちり仕込んでやろうと、
今から腕を撫(ぶ)しているところだ。
あれっ? その♂は、つまるところ飛んで火に入る夏の虫、ってこと?
そうなんですよ、恐怖の館へようこそ。
←1957年、米国から9名のAFS留学生が
初来日。あれからはや60年。
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